TANK 03 18.4°CDAY 12
味は、
見えない動き。
CULTURE / OBSERVATION 002
動いているのは、
私たちではない。
仕込んだあとは、急がせません。ふたの内側では、目に見えない菌が一日中働いています。私たちの仕事は、その動きが止まらない温度を保ち、決まった時刻に静かに混ぜることです。
- 36h
- 増殖がいちばん速い時間
- 2回
- 一日に混ぜる回数
- 6h
- 記録を取る間隔

切る。
待つ。
味わう。
野菜、穀物、海藻。温度と塩分を少しずつ変えながら、素材に眠る輪郭を探します。
CURVE / TEMPERATURE × DAYS
同じ素材でも、
線が違えば別の味。
四つの仕込みを、温度と日数だけで重ねました。最初の三日で線が分かれ、そのあとは平らになります。平らになった高さが、その仕込みの性格です。
0日15304560日
- 紫キャベツ×麹18°C/12日
- 青梅×塩水22°C/28日
- 大豆×煙15°C/60日
- 昆布×カカオ20°C/21日

- 紫キャベツ×麹
- 青梅×塩水
- 大豆×煙
- 昆布×カカオ
PROFILE / FIVE AXES
味を、五つの角で書く。
酸・甘・旨・苦・香。五つの角の長さで、その日の味を記録します。言葉より速くて、写真より正確です。角が伸びた方向に、次の一手があります。
青梅×塩水
香と酸だけが外側まで伸びている大豆×煙
旨と香が外へ、酸だけが内側に残る昆布×カカオ
旨に次いで苦が長い。甘は内側から動かないFERMENTATION LOG / 2026
数字で残す、
味の途中。
おいしいかどうかは、最後に舌で決めます。それまでは、温度と塩分と日数だけを淡々と書き留めます。同じ素材でも、この三つが変われば別の味になります。
- 紫キャベツ×麹18°C12日塩 2.4%甘みが立ち、酸は浅い
- 青梅×塩水22°C28日塩 6.0%青い香りが残る
- 大豆×煙15°C60日塩 3.2%燻りが後から来る
- 昆布×カカオ20°C21日塩 1.8%苦みと旨みが同居
記録は毎週金曜に更新します。数字が動いた回は、理由が分かるまで次の仕込みに進みません。
NOTEBOOK / 走り書き
味の話は、
だいたい余白にある。
数字にならなかったことは、紙のほうに書いています。次の仕込みで効いてくるのは、たいていこちらです。
07.03 FRI
梅、香りが飛ぶ
22°Cを一日超えた。次は20°Cで止める。
07.10 FRI
昆布、甘い
塩を0.2%下げただけ。理由はまだ分からない。
07.17 FRI
大豆、まだ
60日でも早い気がする。次は75日で開ける。
07.24 FRI
カカオ、苦い
苦みが旨みを押している。麹を足して様子を見る。
STARTER / 2019—2026
いちばん古い菌は、
七年前の梅から。
種は買いません。前の仕込みから少しだけ取り分けて、次へ渡します。途切れた年は、記録にだけ残しています。
- 2019
梅の花酵母
庭の梅から採った、いちばん古い株。いまも全部の元です。 - 2021
麹 A-3
米麹を三回継いで、やっと味が揺れなくなりました。 - 2022
昆布の乳酸菌
塩分8%でも生き残った株。塩を効かせたい仕込みに使います。 - 2024
燻し大豆
煙のなかでも育つ、とても遅い菌。60日でもまだ早い。 - 2026
カカオ
いま観察中。系譜はまだ一代で、次に渡せるかは分かりません。